気学とは、日本を代表する経営者が取り入れ実践してきた学問です。今回、「気学ではいったい何を学ぶの?」「学んだことで得られるものは?」「占いとの違いが分からない」など、気学に初めて触れた人が抱く疑問を解決すべく、山口先生にインタビューを行いました。さらに、経営コンサルタントとしての目線から、ビジネスに気学を生かすことのメリットや名古屋で開催されるビジネス勉強会の特徴についても語っていただきます。

1.気学はどんな学問なの?

1-1.生命エネルギーである「気」を知る

――はじめに、「気学」や「気」とはなんですか?

気学とは「気」を学問としてとらえたものです。日本の文化を表す言葉には「気」のつく言葉が多く、「天気」「元気」「景気」などは、誰もが日常生活の中で当然のように使っています。「病気」はすなわち「気が病んでいる」ことを示しているわけですね。そのため、勉強会では「気」とは「生命エネルギー」という言い方をしています。

人間が生きていくうえでは、この生命エネルギーを何に用いているのかが重要です。これは、日常生活にも事業にも当てはまり、気が満ちることで自己実現にもつながっていきます。

ここでいう自己実現とは何なのかということを、心理学で有名な「マズローの5段階の欲求」で考えてみましょう。

まずは生存したいという生理的な欲求から始まり、それが満たされることで次の段階の欲求が生まれます。欲求が上のほうにいくにつれて人間らしさがあらわれ、第5段階が自己実現です。自己実現とは、「自分を生きる」「完全燃焼する」こと。気学は、そういう段階に至ったときにもっとも必要となる概念だと考えています。

「気」とは、誰もが持っていて、誰もがなんとなく大切だと思っているものです。しかし、ほとんどの人がよく分かっておらず、活用できていません。「気」を活用しきることができれば、最終的に人としての頂点や生まれた意味にまで到達すると思っています。

――気学を学ぶことで、自分を知ることにもつながりますか?

そういう側面もあります。自分自身のことが分からなければ、自分自身をうまく使いこなせていないことになるでしょう。「生命エネルギー」について知ることは、自分自身の命の取扱説明書を読むということにもなります。取扱説明書がないままではポテンシャルを発揮できない、と考えてもらってもいいでしょう。

――気学のいいところを教えてください。

ビジネスでは、「売り上げが落ちた」「人間関係で揉めた」「事故が多かった」といった表面的な現象を見て対策をとるのが一般的です。しかしそれでは対処療法にすぎません。気学を活用すると、現象の背後にあるものを見ることができます。本質的、根本的な部分で何が起こっているかを見ることができ、そこへアプローチすることが可能になります。それが一番いいところです。

1-2.占いとの決定的な違いは「自己成長」

――気学と占いの違いを教えてください。

いは、どちらかというと現象面を見るものだと思います。現象にどう対処していけばいいかという答えを出すものだといえるでしょう。答えを見せられると人間は自分で考えなくなっていきます。つまり「依存」です。誰かがなんとかしてくれる、悪いことは誰かのせい、リスクには目を向けずに生きていくという依存体質になり、経営者がそうなってしまうと会社は倒産します。

反対に、気学は「自立」するための学問です。どんな状況にあっても自分が幸せになれる力をつけ、自分の力で幸せを勝ち取るためにあります。気学を学ぶことで、現象が起きている原因や、そこに至るまでの流れといった本質的な部分へのアプローチができるようになります。

――現象を深くとらえることができる!?ということでしょうか?

今起きている現象はすべて、潜在意識のあらわれです。人間は自らの思考で行動を起こしますが、その思考や判断、好みといったものがどこから来るのかというと、潜在意識から来ています。気学は現象の表ではなく裏が分かるものですので、「こういう潜在意識を持っているからこういうことに至ったのだ」という部分が分かります。

今起きている現象は、その人が今持っている実力ではそれだけしか掴めないという結果なのです。実力が変わらないまま、いい結果を掴もうと思ってもほぼ不可能ですし、仮に掴めたとしても長くは続きません。しかし、自分の実力を上げることで、掴めるもの、得られるものは増えていきます。

気学を学び、潜在意識の部分から成長すれば放っておいても成功します。僕の伝える気学で目指すのは、成功ではなく成長です。占いや一般的な気学では、成長せずに成功だけを目指すものがたくさんありますよね。そういったものとの決定的な差は、この部分なのです。「自己成長なくして自己実現なし」が、僕の目指す気学です。

2.ビジネス気学勉強会で学べるのはどんなこと?

2-1.「気づき」を手に入れるための勉強会

――ビジネス気学の勉強会で大切にしていることについて教えてください。

気学ではテクニックも大切ですが、テクニックはひとつの方便(真実に近づくための仮の手段)でしかありません。テクニックを学ぶことを通じて成長のきっかけを掴み、自己拡大することが真の目的です。

たとえば、どれだけいい包丁を使っても、料理人に腕がないとおいしい料理を作ることはできません。道具より、道具を使う人の実力が重要なのです。おいしい料理を作りたいのであれば、料理の腕を磨いたうえで道具を増やしていくことが大切でしょう。

気学のテクニックも、使う人のポテンシャルに依存します。器に何かを入れるにしても、器の大きさ以上のものは入らないのですから。それならば、器を大きくした方が早いというわけです。勉強会を受講することで気づきを増やし、成長してもらうことを大切にしています。

――これまで、ほかの先生方に師事してきた方にひと言お願いします。

テクニック論だけでは限界があると思います。テクニックをコレクションすると学んだ気になりますが、最終的にテクニックは忘れてしまってもかまわないのです。学んだことで人間的な深みがどれだけ出てくるかが重要ではないでしょうか。

アインシュタインは、「教育とは、学校で習ったすべてのことを忘れてしまった後に、自分のなかに残るものだ」という言葉を残しています。アインシュタインといえば天才の代名詞ともいえる存在で、豊富な知識を持っていると思われていますが、「知識は重要ではなく、知識を得た過程で残っているものが重要だ」と言っています。これは、学ぶ過程で得た気づきや価値観が何より重要だということです。

――先生の勉強会の内容は初心者には難しい部分も多いと思うのですが、実際にビジネスに生かしていくにはどうすればいいのでしょうか?

まず世の中の動向を知り、そこに自分がどう向き合っていくのかが重要になってきます。勉強会のトピックスでは経済情勢などについても話しています。世の中の動きを見据えたうえで自分のビジネスのことを考えれば、ビジネスはうまくいきます。その人の心の状態が今のビジネスを作っているわけですから、気づきが増えて成長すればビジネスの内容も変わっていきます。

気学を勉強し、1つか2つのことに気づけばそれで十分成果は出ます。人生を変えるような大きな気づきというものは、普通は多くありません。ところが気学を学んでいると、1年のうちに1つか2つは出てきます。その気づきが、その人の人生を大きく変えていきます。1つか2つの気づきがあれば、じゅうぶんビジネスは成功します。

気づきは1つ得たらそれで終わりというものではありません。気づきを得ると、そこから今までの自分に何が起きていたのかとか、うまくいかなかった理由が分かるようになります。

2-2.学びは継続してこそ力になる

――気学を学ぶうえで継続したほうがいいことや、すぐにできることはありますか?

継続すべきなのは、学ぶことそのものです。気づきは継続した学びの中から生まれてきます。継続して学ぶことで気づきや確信が生まれるので、ぶれなくなってきます。

すぐにできること、というと日盤吉方などになりますが、話を聞いて「いいな」と思ったことはすぐに実践してみることですね。「いい話を聞いた」で終わらせるのか、「いい話を聞いたからすぐにやってみよう」となるのか。今日できることを明日に回す人は一生やらないので、すぐに実践することが大切です。

3.実録!気学のチカラ

3-1.気学を学んだからからこそ掴めた成功

――差し支えのない範囲で、山口先生のコンサルタントを受けて成長・成功した方の話を教えていただけますでしょうか?

とある生徒さんの話をしましょう。店舗をいくつか経営している方です。一時は順調でしたが、従業員が辞めてしまったり、店長が裏切ったりという人間関係のトラブルが発生し、経営危機が訪れます。僕はそこで、あなたが過去にやってきたことでしょう、と指摘しました。実際、その生徒さんは以前に勤めていた会社の辞め方がよくなかったんですね。そのため、「今後も同じことが起きるので、学んだ方がいい」という話をしました。ここで、「この人にはこう言いなさい」「あの人にはこう伝えなさい」というのは占いであり、依存です。「困ったら毎回答えを聞けばいい」という状態は、自分で判断できないということですから。

彼は気学を学び始めましたが、1度すぐにやめてしまったのです。そうしたら再び人間関係で問題が起きて、同じように経営危機が訪れました。そこから心を入れ替えて、学びを継続するようになります。仮吉方に出るなどいろいろなことをしたら、倒産寸前だった会社がものすごいことになったのです。商品は全国展開して信じられないほどに売れ、テレビショッピングに出て関連書籍も出版しました。 食うや食わずの状態からここまで来られたのはなぜか? 本人も、「自分一人ではここまで来られなかった、間違いなく気学の力だ」と言っていました。それは、自分の考え方が大きく変わったということにほかなりません。テクニックも使ったけれど、何よりも低迷していた当時の考え方のままでは成功はしなかったでしょう。

――その方には、人間関係のトラブルを起こすような下地があったということでしょうか!?

そういう発想があったし、何よりもチャンスを生かせるような心ではありませんでした。コンピューターでいえば、テクニックはバグを修正するようなものです。大切なのはアップグレードであり、心が変わらなければアップグレードは実現しません。

4.鑑定&コンサルティングの活用

4-1.自分で学びながら相談できる

――その方には、人間関係のトラブルを起こすような下地があったということでしょうか!?

それもひとつの方法ですね。ただ、僕の勉強会は自分で自分のことが分かるようになることを目指しているので、基本的に答えはあまり言っていません。たとえば、引越しで吉方をとるにしても、ただ単に「来年引っ越すのであれば吉方は東ですよ」と言うのではなく、どの方角に引っ越せばいいかを自分で見られるようにしています。そのなかで、細かいことがわからない場合には個人鑑定を受けるのもひとつの方法です。

個人鑑定は、あくまでも依頼者の質問に答えるものです。「私はどういう人ですか?」という質問があったとしても、必ず「あなたは何が知りたいんですか?」と問いを返しています。わざわざ料金を支払って聞くわけですから、必ず目的がある。それを引き出して聞くようにしています。これが、スポットの個人鑑定です。

4-2.年間の展望に絡めたコンサルティングも実施

――個人鑑定とビジネス鑑定の違いを教えてください。

ビジネス鑑定は、依頼者一人では帰結しません。取引先、マーケット、組織を持っているのであれば従業員も絡んだ話になってきます。当然、一人を見れば済む個人鑑定よりはるかに難易度が高いので、料金もまったく違います。事業の目的は利益を出すことですから、個人鑑定とは質が違うものです。

ビジネスに関していえば、名古屋では年の始めに「展望と実践講座」と合わせて「展望のコンサルティング」を開催しています。これは名古屋の教室でのみ行っているもので、ビジネス色を強く出しているのが特徴です。

――「展望のコンサルティング」とはどういったものなのでしょうか?

「展望と実践講座」は、年の初めに1年の予測を立てるための講座です。毎年KADOKAWAから「展望と開運」という本が出版されていますが、それを読んだだけでは理解できないという人が当然いらっしゃいます。そのため、書籍には載っていない話も含め、「今年1年はこういう年になります」という気学に基づいた予測を講座のなかで行うわけです。

名古屋の教室では「今年はこういう年です」という話で終わらせず、「こういう年だから、こういうふうに実践しよう」と自分の業界にあてはめて自分で考えてもらいます。「展望と実践」ですから。しかし、そうは言っても「うちの業界で、今の時期にこれは減らせない」などといった迷いが出てきます。そこに僕も入って一緒に考えましょう、というのが展望のコンサルティングです。

4-3.一流選手には必ず一流のコーチがついている

――先生から受けられるコンサルティングについて、くわしく教えてください。

コンサルティングにはスポット(単発)と年間契約とがあります。個人鑑定や、展望コンサルティングも含めたビジネス鑑定はスポットです。しかし、本来は事業も個人も、継続して見ていかなくてはポテンシャルがなかなかあがりません。たとえば、学力を上げたいと思ったときに、解けなかった問題だけ先生に聞きにいくのと、毎日塾に通うのでは、学力の上がり方は違ってきますよね。同じように経営者も、独学でうまくいく人もいれば、メンターをつける人もいるわけです。指導を受けるのであれば、当然のことながら継続したほうが高い効果を得られます。

オリンピックに出場する選手に、コーチをつけず独学で出場したという人はいないでしょう。自分一人では学びきれない部分を身につけてもらいたいですね。

4-4.気学を取り入れたコンサルティングなら、見えない部分から経営を変えられる

――年間を通してのコンサルティングを継続すると、どんなアドバイスを受けられるのでしょうか!?

会社の経営状況や財務内容などをすべて見て、そこから経営改善をしていきます。この部分は完全に経営の話です。僕は自分が経営に長いこと携わっていたので、あくまでも経営コンサルタントとしてアドバイスを行い、その中に気学の要素が入れている、という形になります。これからの経営には、「易」「気学」「心理学」の要素が外せないと思ったからこそ取り入れました。気学を用いる経営コンサルタントはほかにもいますが、中には経営に関わった経験がなく、気学の要素のみで指導をしている人もいます。それは、野球をやったことない人がバッティングコーチをやっているのと一緒でしょう。

――経営のコンサルタントはたくさんいると思いますが、気学をプラスすることによってどんな違いが出てくるのでしょうか?

コンサルタントにはそれぞれの得意分野や専門分野があり、細分化されています。そのなかで、売上や利益率、集客率といった目に見える表面上のデータは、どんなコンサルタントでも見る部分です。気学で見ていくのは数値化できない、目に見えない部分ですね。会社を経営しているのは社長という人間ですから、その中身を見て、従業員という人間の中身も見て、そして会社も見ます。一般的なコンサルティングでは、会社を運営している人間はあまり見ていません。一方で、気学を用いたコンサルティングでは会社を運営する人間も含めて見ることができます。

――人間関係で経営がうまくいっていなかったという生徒さんに対しても、人間から変えたということですか!?

そうです、会社の仕組みも社長の中身も変えました。

5.山口先生の経歴

5-1.ビジネスに使える気学を求めて

――山口先生が気学を学び始めたきっかけを教えてください。

前職で雇われ経営者をしていたときに、事業が成功してものすごく利益が出たんですね。そうしたらオーナーが、他人をまるで道具のように扱い始めたのです。そういう姿を見て「変わってしまった」という人もいたけれど、大金を握ったことで本性が出てきたのだ、ということがわかりました。そこでオーナーの人間性をよくしようと考え、気学を始めました。

成功とは預金通帳の金額が増えることではありません。お金とは道具に過ぎないからです。道具が増えることが成功ではありませんよね。しかし、お金は道具であると同時に「力」でもあります。力は、持つ人が善なのか悪なのかによって性質が大きく変わるものです。悪い心を持った人が力を持てば、人を脅す道具にしかならなりませんから。得た力が巨大になればなるほど、その力に振り回されるようになってしまう。力に負けて溺れていってしまう。そういう姿を見て、人間そのものをよくしなければ力を正しく使えるようにはならないし、ろくなことにならないと痛感したのがきっかけです。

――そのときに気学を知ったのですか?

気学そのものは10代の頃から知っていました。少しだけ学びましたが、当時の学びは本質的なものではなく、まったく頭に入ってきませんでした。これはいずれ使うことになるだろうと思っていましたし、ずっと探してはいたのですが、深い部分を教えてもらえるような出会いがなかったのです。

――そこで村山幸徳先生に出会ったのでしょうか?

オーナーの本性があきらかになったことで、さまざまなトラブルが発生しました。「このために会社を大きくしたんじゃない」という思いから本気で気学について探し始めたときに、人からの紹介で村山先生のことを知りました。「この人なら」と思って会いにいったのは、村山先生が気学のみならずビジネスにも携わっていたことが大きいですね。村山先生は海外に日本の企業を紹介したり、TPIジャパンの副社長を務めたりと、多岐にわたるビジネスに携わっていらっしゃいました。実際にビジネスをしている人だから、ビジネスに使える話が絶対にあるだろうと思ったわけです。気学だけ、鑑定だけという人であれば、会いに行かなかったと思います。

5-2.ポテンシャルを上げるだけで成功は近づく

――ビジネスに携わる人に気学を教えようと思ったのはなぜですか?

僕は元々経営者です。コンサルタントに転じようと思ったのもそういった経歴があるからで、ずっとビジネスに携わっています。気学はあくまでもビジネスの道具です。ただ、人間を作っていくという意味でも非常にすぐれた道具であり思想であると考えていますし、最初からそれをメインにしています。

最初の頃は、気学をビジネスに使いたいという人はほとんどいませんでした。名古屋で佐々木君と勉強会を開催することになったとき、名古屋ではビジネスにウエイトをかけようという方針が決まりました。教室では、事業を成功させるために大事なことを学びたいという人を求めています。

気学のテクニックだけを人に広めるつもりはありません。勉強会で気学を学んだ人が、気学を自分のビジネスに取り入れ、自分も従業員も自己成長していくことが目的です。現状のままで成功を掴もうと思うよりも、ポテンシャルを上げた方がよほど成功に近づくことができるからです。